まあざっとあらすじを言うと海の王女のお姫様であるマリナ姫が姫の歌に誘われて海に落ちてしまった人間の一国の王子であるケントと恋に落ちて婚約披露のパーティの夜に城を抜け出して陸で待つケントの元に行こうとするのだが・・・って感じなんですがね。
人魚姫のラストって人魚姫が泡になって消えてしまうじゃないですか。
まあそれを思えば切ないラストになるのかなーって気もするんだけどなにせタイトルがスマイルマーメイドですから最後は結ばれてめでたしめでたしになるって思ってたんだよね。
1幕ではこのまま両親の言うとおり親の決めた婚約者と結婚していいんだろうか、恋ってなんだろうと悩んでいたマリナがマリナの歌に引き寄せられて海に落ちてしまった人間のケント王子とケントの愛犬のパブロを救ったことでケントと恋に落ち、何もかも捨ててケントと生きると決意して婚約披露パーティの夜にこっそり城を抜け出そうとしたところを婚約者のサメ王国のルカに感づかれて報告を聞いた父親のポセイドン王(人間を醜い下等な生き物と思っている。海の王国の生き物は大抵こういう認識らしい)の逆鱗に触れて闇の牢獄に閉じ込められてしまうところまで。
ここまではまあ既定路線というか、きっと2幕ではまだ1幕では出てきてない魔女がなんやかんやして色々あって両親も仲を認めてくれてマリナは人間になってハッピーエンドだろうなって思ってたんですよ。
ところがどっこい!!
2幕では闇の牢獄の番人である魔女(本人は女神と言ってたが)のスネイキアに本当の愛は嫉妬や怒りに溢れた汚いものだというのを吹き込まれて洗脳状態になってしまったマリナがスネイキアに唆されてケントの婚約者を呪い殺そうとするんだけど、間一髪のところでマリナの友人で宮廷道化のドーフィンとパブロに助けられて闇の牢獄から脱出することに成功。
しかしここから物語が予想外の方向に転がり始めた。
マリナを逃がすためにスネイキアの元に残ったパブロ。スネイキアからマリナを見逃す代わりに自分の魂を捧げるという契約を持ちかけられて二人の幸せが自分の幸せだと言って契約してしまう。契約はマリナとケントが無事に再会した瞬間に施行されるということでなんだかんだ言って大丈夫なんだろうと思いきやパブロは命を落としてしまう(ここでまず驚いた)
一方再会を果たしたマリナとケント。感動の再会になると思いきやケントほうは三日三晩約束の浜辺でマリナを待ち続けた結果、マリナを諦めて婚約者と結婚することにしてしまっていた。
マリナは本当の愛を知ったと語り愛し合ってる2人は永遠に一緒にいなければいけない、一緒にいられないなら私を殺して、じゃないなら私があなたを殺すとかだいたいそんなような事を言って(この辺マリナの激情が怒涛すぎて正直よく覚えてない)それに心を動かされた?ケントが海に身を投げてしまう(マリナには死んだ者に命を与える能力があるらしいので死んで海の中で暮らせるようにしようとした?この辺もちょっとよく分からなかった)
そしてラスト。骸骨になってしまったケントを抱きしめて髑髏を愛おしそうに撫でながら歌を歌い続けるマリナの姿が・・・。
ここで終わりなんですよ。
幕が降りて上がって出演者挨拶が始まったもんだからつい「え、終わり?」って言っちゃったよね・・・。
まさかスマイルマーメイドなんてタイトルでこんなメリバなんだか鬱なんだかなラストが待ってるとは思いもよらなかったわ。
まあマリナは笑ってましたからタイトル間違ってないんですけどね。
このラストに関しては考察の余地があるなーと思う。
観たときはとんだバッドEDやがな・・・って呆然としてしまったけど時間経過がはっきりしてないから海に身を投げたケントが即死亡して狂ったマリナがああやってずっと骸骨を抱いて幻想の中で生きてるのか、新しい命を与えられたケントが天寿を全うして(海の住人たちはおそらく1000年くらい寿命がありそうだから新しい命を与えられたときに不死になったり同じ生き物にでもなってない限り間違いなくケントのほうが先に死ぬ)死んでから骸になっても離さずに傍にいるのかってパターンはいくつか考えられるなーと。
ただそのラストのシーンで舞台装置の布がぼとぼと落ちていってるのが不穏というかどんどん朽ち果てていってるようでやっぱり明るい未来というか幸せな2人が存在したというのはちょっと考えられない気がするんだよねえ・・・。
パンフの座談会読むとラストのマリナはスネイキアの洗脳は解けてるそうなんだけど、それにしてはかなり狂気じみてたんだよね。
思うにマリナは純粋すぎて恋に恋してるような女の子だったから初めての恋に燃え上ってしまって、そこにきてスネイキアから受けた洗脳が妙な感じに残ったというか影響されてああいう狂気じみた愛になってしまったのかなあ、と。
そして人魚と言えばセイレーン、その惑わす力でケントも惑わされてしまってマリナの愛に飲み込まれてしまったのかも。
ただ一つ言えるのは、これスネイキアの一人勝ちだよね。
スネイキアは若い魂が大好物でマリナの魂も喰らおうとしてたんだけど、マリナの身代わりに恐ろしい魔女を前にしても一歩も引かなかったパブロの高潔な魂をゲットできたからこれはこれでアリというかやっぱ一番笑ってるのスネイキアだよねっていう・・・下手したらマリナとケントの末路もスネイキアの掌の上だったのでは?と思わないでもない。
いやはやほんとにこのラストには驚かされた。
演者について少し。
なんといっても今回驚いたのは加藤清史郎くんの参加だったね。
蒼井くんありきの企画でどちらかといえば2.5次元よりのジャンルに入ると思うんだけど、そこにこんなビッグネームが来るとはって言うね。
蓋を開けてみればダンスやら歌やらプロフェッショナルぞろいでそりゃ出演してもおかしくないわって感じだったんだが。
清史郎くんはさすがの上手さだったね。歌もダンスも芝居も。
パブロが死んでしまうところではもうすすり泣きの大合唱ですよ。
本人的には今のところ舞台を極めたいという意思があるようなんでぜひともこのまま良い役者に成長してミュージカル界を背負って立ってほしい。
あとスネイキア役のメタルさん。
禍々しい魔女の感じがすごいはまってたなーヒールを履いてるせいかダンスがひょろひょろしてるところもあったけどそれ差っ引いても迫力がすごい。
スネイキアの登場シーンの曲がメタル?ヘビメタ?とにかくそんな感じであそこだけ新感線っぽかった。
そして主演の蒼井くん。
最初のほうはちょっと無理して高い声出してる感あったんだけど(歌だと安定するんだからある意味すごい)愛に狂っていくあたりの凄味のある演技してる時のドスの効いた声とか震えたよね。
正直蒼井くんがこういう綺麗なだけではない愛の物語を提案したっていうのが意外なような気もしたんだけど人間誰しも闇というか暗い部分を持っているものだしこれも蒼井くんの中のひとつの感情なのかなあとかなんかちょっと考えてしまったわ。
ところで前作では女性の振りをしている男の子、そして今回は完全に女性の人魚姫ときたわけですけども、おそらく来年第3弾をやるのではないかと思うんだけどきれいで可愛い蒼井くんはもう十分堪能させてもらったから次回あるなら今度はかっこいい蒼井くんを観てみたいですね、個人的には。
今年最後の観劇はなかなか面白い作品を観れました。
パンフ読まずに観たんだけどあとから読んだら座談会にラストの展開に言及した箇所があったんで読まなくて正解だったわ。
結末を知った状態で観てみたい気もするんでニコ生のほうも余裕があったら観てみたいです。
さーて来年はどんな作品に出会えるかしら。
PR