森山未來主演「ネジと紙幣based on 女殺油地獄」を観て来ました。
今日が楽日なのでネタバレ気にせず感想いってみます。
自堕落で家族からも見放されている男・行人が唯一自分を見捨てず見守ってくれている姉のような存在の幼馴染・桃子を殺すまでの出来事を登場人物が振り返りつつ追っていく形で進行しました。
なんかこう、見ててイライラしました。悪い意味ではなく。
出てくる登場人物全員が大なり小なりイライラしたものを抱えていて、それが端々から伝わってきて見てるこっちもそのイライラに当てられてイライラしてくるような。
自分を勘当した両親がなんだかんだで自分を心配して自分宛のお金を桃子に渡しているのを見て、これまでの目先の事しか考えない自分を反省したようにも思えた行人だったけど、多額のお金を見た瞬間に結局目先の事しか考えられなくなって(怪我をさせた地上げ屋の赤池に100万を要求されていたので早急に金が必要だった)両親が桃子への慰謝料(?)として渡したお金をナイフをちらつかせて奪おうとした時に桃子に「あんたもうダメだ!」と吐き捨てられて見捨てられた瞬間に、それまでのイライラを全て爆発させるかのようにナイフを桃子に突き立てる行人がなんだか惨めで、それでいて母親に縋りつく子どものようできつかった。
この人だけは自分を見捨てない、自分を守ってくれると思ってた人に例え自業自得でも見放されたらそりゃあたまらないだろうなぁ。
でも多分行人が一番こたえたのは、桃子を殺した後、何食わぬ顔をして実家の工場に戻った時に従業員の栗尾から自分があげた衣服を突っ返されて「気に入らないから」と言われたときのような気がする。
この栗尾というのが、すぐに謝って人とのコミュニケーションが取れないというまぁ会社に一人はいそうな人間なんだけど、行人は「変な奴。ああいうのが人を殺すんだ」と評していて、栗尾に対して暴力も振るうし恐らくダメな自分よりも更にダメな人間、つまり自分よりも格下の人間と見ていた節がある。
その栗尾がそれまで自分の問いかけにもまともに答えられなくて否定も拒否もされなかったのに、自分が気に入らなきゃ捨てろと言って押し付けた衣類をわざわざ返されて「気に入らないから」と拒絶されたら、ある意味桃子に「ダメだ」と言われた事よりもきついんではないかなぁ。
少なくとも追い討ちは掛けられたと思う。
そんでもって桃子を殺してまでして得た100万を赤池が何事もなかったかのようにスルーしたらなんかもうやってられんよ。
栗尾と赤池が桃子の死体を発見したあとも延々手を洗い続ける行人に底のない絶望というか、全く先の見えないその後の人生を見た気がする。
しかしそもそも悪いのは桃子の旦那が変に二人の仲を勘繰って、行人のうちにそれを話しに行ってしまったことが発端だと思うと、一番の悪人は旦那な気もしてくるような。
その前にその事で桃子と喧嘩してるから、それで桃子もかなりイライラしてただろうし、あれさえなければ桃子も穏便に対応したのかもしれないなぁと思うとやるせない。
何というか、間が悪いというかボタンの掛け違いって怖い。
意外に笑える場面もいっぱいあったけど、最後はやっぱりドーンと来る芝居だったなぁ。
役者について少し。
未來はこれが初めてのストレートプレイだったけど、いい役者になったなぁと思う。
ダンサーとしての未來に特に魅力を感じた事が無いし(上手いとは思うけど)踊りなしでも良い芝居をするだろうという思ってたけど、行人の常にイライラしてる感じとか矮小な感じが凄くよく出てた。
未來のちょっと独特な台詞回しが好きだ。
ともさかりえは細い!!まー細い。
ちょっと声が細いのかところどころ聞き取れなかったのが残念。
殺されてる場面がなんだか妙に美しかった。
しかしパンフの巻末に元旦那と倉持さんの対談が載ってたのにはちょっとヒッとなった。いいのかあれ。
細見さんは未來の兄貴だったんだけど出番が・・・・少ない・・・・・orz
髭面だしちょっとショックだけど、動く細見さんは相変わらず素敵でした。声もやはり良い。
良いお芝居だったんだけど、イライラして疲れた。
最後列だった上に隣のおっさんは鼻息荒いし隣の女は上演中にも関わらず水飲むしで環境がよろしくなかったのも原因か。
ともかく次の観劇は蛮幽鬼です。
キャラメルの岡田さんのブログ見て楽しみで仕方ない。
ふと岡田さんの方が堺雅人よりも年上なことに気付いてうわーとなった。
見えねえ・・・。
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